定年を迎えてから両親が新婚のようにラブラブになった理由

父と母のバレンタインについてのお話です。 父は船乗りで、家に帰ってくるのは年に一回一週間位。 元々が無口な父は帰ってきても、話すことはあまりありません。

その上頑固者で、食べる物も魚と野菜と決まっていました。 ですので、それ以外に口にするものは、お酒とたばこ位の人。それが父だと、母も私も信じていました。

父が退職したのは65歳を超えてからでした。 その頃には私は既に家をでており、結婚し30年以上たって、母は初めて父と365日を一緒に過ごすことになりました。

毎日毎日、魚と野菜の日々なんだろうな、と心配していたら、それから徐々に母から乙女のような連絡が来るようになったのです。

「うちのお父さん、カレーを食べるよ!」 「お父さんがコーラを飲んだよ!」 と、まるで新婚さんのように、初めて父の魚と野菜以外の好みに気づき始めた様子。

そして二人で過ごす初めてのバレンタイン、母から「お父さんに初めてチョコレートを上げたら、食べてくれたよ!苦いのが好みだって!」と、ラブラブな連絡が来たのです。

誕生日もクリスマスも一緒に過ごしたことがなかった二人で、未だにそれらを祝う習慣はないようですが、チョコレートのお陰で、両親にとってバレンタインは一年の大切なイベントになったようです。

以来、私が実家に帰るときは、バレンタインじゃなくてもお土産はダークチョコ。 そして母も毎年、父にバレンタイン用に美味しいチョコレートを選ぶのが楽しみにしています。

若い頃は離れ離れだった分、還暦を過ぎてラブラブな二人を見ていると、とってもほほえましく、また羨ましいです。