20体のひな人形

ひな祭りがくる度に思い出すおばあちゃんが語るお母さんの話。

ひな祭りというと今年82歳になるおばあちゃんの話を思い出す。おばあちゃんがお母さんだった時、つまり、私のお母さんが子どもだった時代は、女の子の初めてのひな祭りの日には親戚中がお祝いとして雛人形を送るのが普通だったそう。

うちのおばあちゃんは8人兄弟。おじいちゃんは10人兄弟。そんなわけだから、お母さんの親戚に当たる人はそれはそれは大人数で、お母さんの初めてのひな祭りにはおおよそ20体程の雛人形が送られてきたんだって。

しかも、そのほとんどはお雛様。お内裏様はわずか2体しかいなかったんだって。 おばあちゃんはお母さんの為にひな壇をこしらえてあげるのだけれど、20体もいればとてもとても壇には収まりきらない。

そこでお母さんはお雛様を自分の好きな順に、上から並べていたんだって。お雛様はたくさんいても一体一体の顔は全て違うそうで、その中の一番のお気に入りの一体を一番上に飾り、夜眠る時は一緒に抱いて寝ていたんだとか。

それを語るおばあちゃんの表情がとても優しくて、温かくて、忘れられず、なぜか今でもひな祭りがくる度にこの話を思い出す。